化粧品(酸化チタン含有)の分散安定性評価
概要
- 市販されている日焼け止め4種類の分散安定性評価を遠心沈降法とX線式分散安定性評価装置で行った。
- 遠心沈降法で上澄みの形成速度から各サンプルの比較を行った。
- X線式分散安定性評価装置で沈殿槽の特に金属の堆積形成がどのようになるかを観察し、比較した。
*日焼け止めは全て酸化チタン含有で、SPF50+・PA++++のグレードの物を使用した。
サンプルの測定容器への充填
サンプルの粘度が高かった為、専用のカニューラ(長い針)とシリンジを使用してサンプルを測定容器に充填した。
測定用容器は光路長2mm厚の物を使用した。
カニューラ
光透過率による各サンプルのプロファイル
4000rpm(約2000G)で4時間測定した結果。
サンプルBの沈降速度が遅いことが分かる。
プロファイルから得られた上澄みの形成速度
上澄みの形成速度(沈降速度)もサンプルBが他のサンプルより遅い(分散安定性が高い)ことが分かる。
Sample Name | Velocity in mm/month | Mean RCA in g | Velocity in mm/month (1G換算) |
A |
42,361 |
2,013 |
21.04 |
B |
119.4 |
1,990 |
0.06 |
C |
119,421 |
2,076 |
57.52 |
D |
7,146 |
2,021 |
3.54 |
サンプルDのX線、光透過、写真の比較
サンプルDの光透過率及びX線、写真の比較。上澄み層は相関が取れている事が分かります。
X線では写真や光透過率では分からない沈殿層の状態が把握できている事が分かります。
沈殿層は、X線の透過率がほぼ0%になっているため、金属粒子(酸化チタン)が沈殿していると考えられます。
各サンプルのX線透過率の経時変化
光透過率では分からない酸化チタンの堆積スピード及び量の違いが把握できます。
B以外はかなり初期で沈降してしまっている事が分かります。
結論
- 日焼け止め4種類の分散安定性評価を遠心沈降法とX線式分散安定性評価装置で行ったところBのサンプルが一番安定性が高かった。
(Bのサンプルだけ撹拌用のボールが入っていない物だった) - 遠心沈降法では分散安定性の指標になる上澄みの形成速度が算出できる。
- X線式分散安定性評価装置では光学系では捉えられない沈殿槽の金属堆積形成がどのように進むかが観察でき、かなり初期の段階で沈降している事が分かった。また、おそらくCのサンプルが金属(酸化チタン)の量が他のサンプルより多いと考えられる。
装置詳細はこちら ⇒ 多検体・分散性評価 粒子径分布測定装置 LUMiSizer
自然沈降・X線透過方式 分散性評価装置 LUMiReader X-RAY
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