ビーズミルの分散終点を3つの測定手法から検討
概要
ビーズミルを用いた濃厚系スラリーの分散終点の探索を、動的粘弾性測定装置(レオメーター)、パルスNMR、遠心式分散性・粒子径分布測定装置を用いて行いました。
スラリーの使用、開発には各特性の関係の理解が重要
《測定対象》
ビーズミルで処理したチタン酸バリウムの濃厚スラリー(固形分濃度:約70wt%)を、処理時間毎に各評価装置で測定。
動的粘弾性測定装置(レオメーター)を用いた評価 -レオロジー特性-
レオメーターを用いて粘度・動的粘弾性測定を行い、過分散境界と分散性良好条件の判定を実施しました。
この結果から、過分散境界は25.1minであると思われます。
装置詳細はこちら→ 粘弾性測定装置 モジュラーコンセプトレオメータ MCR Evolutionシリーズ
遠心式分散性・粒子径分布測定装置を用いた評価 -沈降速度分布測定-
レオメーターの結果を受けて、凝集粒子の有無を確認するため、遠心式分散性・粒子径分布測定装置を用いて、通常、分散安定性評価に用いられる沈降速度ではなく、沈降速度分布を求めました。測定は希釈せずに行いました。
得られた結果が上記のグラフになります。滞留時間41.8min~83.5minのサンプルには粗大粒子(凝集粒子)が多く含まれているのが分かり、レオメーターの結果を裏付ける物となりました。
また、25.1minの物には粗大粒子(凝集粒子)が少なく、ピークがシャープな事が分かります。
装置詳細はこちら→ 遠心式分散性・粒子径分布測定装置 LUMiSizer
パルスNMRを用いた評価 -界面特性評価-
次に、スラリーに含まれる粒子の界面特性を評価するため、パルスNMRを用いて緩和時間を測定しました。
緩和時間が短いほど、粒子が溶媒に対して濡れ性が良いと判断できます。
また、スラリー中に、細孔粒子や溶媒を囲い込むような凝集体が存在する場合、非常に短い緩和時間を持つ成分(短成分)が現れます。この短成分の存在割合が多いほど、凝集体が多いと考えられます。
得られた結果が上記のグラフです。滞留時間が長くなるほど緩和時間は短くなっています。
しかし、緩和時間は粘性にも影響を受けるため、レオメーターでの測定結果からも滞留時間が長いほど粘性も増加しており、緩和時間のみの結果から分散性の良否判定は難しいと考えました。
そこで、短成分の存在量を確認すると、33.4min以降で短成分の存在割合が急激に増えていることから、溶媒を囲い込むような凝集体の形成が進んでいると予測されます。
装置詳細はこちら→ パルスNMR測定装置 MagnoMeter XRS
結論
レオロジー特性評価・粒子径分布測定・パルスNMR評価から得られた結果からは、分散条件としては、滞留時間25.1minのサンプルが一番良いと考えられます。
濃厚スラリーの分散性評価において、1つの手法のみで評価するのではなく、レオロジー特性・パルスNMR界面特性・粒子径分布といった複数の手法で多角的に評価することが有効だと思われます。
濃厚系スラリーの多角的評価が可能な受託試験サービスも行っております。
詳細はこちら → 粒子濃厚系スラリーの分散性・凝集性分析評価サービス
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