UVオゾン処理と密着力・接触角の関係

概要

多検体遠心式剥離強度測定装置LUMiFracを用い、UVオゾン処理を被着体に行うと密着力に影響があるかを確認しました。

併せて、接触角計を用いて密着力との相関性の有無も確認しました。

 

遠心式剥離試験機LUMiFrac 測定原理

LUMiFracは、下の図のように試料に重り(TestStamp)を付けて遠心力を加えていき、試料が破断する瞬間をセンサーで捉え、その時の回転数、重りの重さ、接着面積から破断時の荷重を算出します。

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サンプル構成

TestStampと呼ばれる重りとサポートシートと呼ばれている基板をサンプルとなる接着体で固定します。
今回は、このTestStamp(アダプター)サポートシートに、UVオゾン処理を行い、密着力が変化するのかを実験しました。

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測定サンプル:UVオゾン処理する被着体

サポートシート

材質:ステンレス 

サイズ:20mm角、厚さ2mm

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アダプター

材質:ステンレスもしくはアルミニウム 

サイズ:Φ10mm

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アダプター(ステンレスまたはアルミニウム)、サポートシートをアセトンで洗浄・乾燥後、UVオゾン処理機で5分処理しました。

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UVオゾン処理機

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完成した試験片

 

接触角比較

アダプター(ステンレスまたはアルミニウム)、サポートシートについて、UVオゾン処理有とUVオゾン処理無の物を各4個準備し、各々の接触角を測定しました。
その結果が以下になります。

 

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UVオゾン処理をしたものは、未処理のものに比べ、接触角が小さくなりました。
UVオゾン処理をすると、各材料表面が洗浄され、濡れ性が良くなっていると考えられます。

 

密着強度比較(両面テープ)

アダプター(ステンレスまたはアルミニウム)とサポートシートについて、UV処理有とUV処理無の物を各4組準備しました。両面テープを用いて接着し、24時間固定後、遠心式剥離試験機LUMiFracで密着強度を測定しました。

 

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UVオゾン処理有は、処理無に比べ、密着強度がステンレス、アルミニウム共に2割程度大きくなり、また、標準偏差も小さくなりました。
今回のアダプターやサポートシート等の材質であるステンレスやアルミニウム等を接着する際にUVオゾン処理をすることで、その密着強度を高めることができると思われます。

 

密着強度比較(瞬間接着剤)

アダプター(アルミニウム)とサポートシートについて、UV処理有とUV処理無を各4組準備しました。強力瞬間接着剤(耐衝撃)を用いて、保持時間30分・1時間・1日でそれぞれクランプを用いて固定・静置したものを、遠心式剥離試験機LUMiFracで密着強度を測定しました。

 

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瞬間接着剤を用いた測定で、UVオゾン処理有は処理無のものに比べ、どれも密着強度が大きくなりました。また、標準偏差に関しては、処理有のほうが処理無に比べ小さくなりました。

両面テープを用いた測定と比べると、瞬間接着剤を用いた測定のほうが、UV処理前後の差が大きく、濡れ性の影響が接着剤の方が大きいと考えられます。

また、密着強度は30分や1時間静置した物より1日静置した物の方が低い結果になりました。

 

結論

UVオゾン処理をステンレスやアルミニウムに行うと接触角が下がり、また同様に密着力向上にも寄与することが判明しました。
今回の試験で、今回のサンプルにおいて接触角と密着力に相関性があると考えられます。

 

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