プラスチック基板と無機膜(コーティング膜)の
引張剥離強度とせん断剥離強度の比較
概要
多検体同時・接着強度測定装置LUMiFracを用い、基材上のコーティング膜の引張強度、せん断強度の測定を行いました。
サンプルはプラスチック基材上に無機膜(コーティング膜)が蒸着されたものです。
引張強度測定
測定条件
サンプルを15mm角程度に切り出し、無機膜(コーティング膜)側にTestStamp、プラスチック基材側にサポートシートを接着剤を用いて固定しました。
クランプで保持し、数日静置後、1N/secで荷重を増加させる条件で引張強度を測定しました。(n=4)
結果:引張強度:5.951±0.9012 [MPa]
どちらの面でも無機膜(コーティング膜)が確認できる為、剥離箇所は無機膜(コーティング膜)層内となると考えられます。
せん断強度測定
測定条件
サンプルを7mm×10mm角に切り出し、無機膜(コーティング膜)側にせん断治具②をつけたTestStamp、プラスチック基材側にせん断治具①を接着剤を用いて固定しました。
クランプで保持し、数日静置後、1N/secで荷重を増加させる条件でせん断強度を測定しました。(n=4)
結果:せん断強度:1.707±0.0954 [MPa]
一部でプラスチック基材が確認できる為、無機膜(コーティング膜)とプラスチック基材の界面近くで剥離しているのではないかと考えられます。
まとめ
①引張剥離について
引張強度 : 5.951[MPa]
剥離箇所 : 無機膜(コーティング膜)層間で剥離していると思われる。
②せん断剥離について
せん断強度 : 1.707[MPa]
剥離箇所 : プラスチック基材と無機膜(コーティング膜)との界面に近いところで剥離していると思われる。
今回のサンプルは、せん断剥離と比べ、引張剥離強度が約3倍あること、また、その剥離箇所が異なることが分かりました。
【コーティング膜等に関するLUMiFracの適応規格】
- DIN EN 13144 : 2019-02
- 金属、ポリマー、ガラス基材に塗布される金属やその他の無機コーティングの接着強度の定量的な測定方法を規定したもの。代表的なものは、アルミニウム、銅などの金属コーティング。
- DIN EN ISO 2819 2018-06
- 電気めっきおよび化学的に成膜された材料の密着性の試験方法を規定したもの。
- DIN ISO 9211-4 2008-06
- 光学材料やそのコーティング膜の特性試験について規定したもの。
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